巨大ナメクジと花 / だいじょうぶな人

 



 
トイレスタンプというものをはじめて買って、トイレにスタンプしていた。
ジェルが消えた頃にはスタンプ方法を完全に忘れており、勘でやったら巨大ナメクジみたいにスタンプされてしまった。それに、3日で消滅した。どうやらスタンプの蓋の存在に気づかず、蓋をしたまま全力でスタンプを試みた結果、その隙間から巨大ナメクジの姿となってあらわれたようだった。
さっき落ちついて箱の裏を読みながらスタンプしたら、こんどはちゃんと、花が咲いた。モニュッ…と咲いた。



去年の冬、室内で育てていた多肉植物を植え替えたら枯れてしまった。そもそも光が足りなくて、軟弱に育ってしまっていたようだった。植え替え後は絶望的な姿(もうおわりだよ…)をしていて茎もわたしの心も折れたが、ヤフー知恵袋を信じ、春がくるまで室内のいちばん光のあたる場所に置いておいたら、気根(きこん)が伸びてきた。冬は水をやるとよくないとのことだったので、心を鬼にして放置。一筋の希望のようだった気根は、気持ち悪いよってくらい何本も伸びてきた。
春がきてからは屋外に出し、時々水をやって、基本放置。思い出さないと忘れるくらい、ふつうの存在になってくる。一ヶ月ほど経ったころ、完全復活をとげていた。
 
今日、洗濯物をしていて久々に多肉植物のことを思い出し、まじまじ見つめてみると前にも増してたくましい茎、気根もムキムキになっている。完全に終わったと思っていた鉢には新芽(?)まで。
直射日光は与えすぎてはいけないという文言をどこかで読んで、それに過剰反応してしまって大事に屋内で育ててきた去年とは比較にならぬほど、生き生きと育っている。土から生える植物は強い。図太い。安心する。

その姿は自分の心のようでもあった。(もうおわりだよ…)状態のとき、わたしは全然おわってなんかいなかった。立ち方をいつも忘れてしまうだけで。いつも、たしかに心から気根を伸ばしてまた立ち上がってきたではないか。