錆を放置していた真鍮の髪留めをクリーナーで磨いたら、何層か剥がれたように輝きだした。こんな輝く人だったんだ。かわいい缶の中には一生使いきれないんでないかという量のクリーナーが入っている。引越しのためにホームセンターに行き、便乗して買ってしまった。こんなことをしているから荷造りが進まない。引っ越せるのか。
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個展にて、在廊が苦手になったのは、何を優先したらよいかわからなくなったからだ。でも、全然違う感動とか、知らないまなざしで感想を教えてくださったり、絵を見る人の背中を眺める時間は幸せなもので、多分、そのおかげで辛うじて社会と関わることができている。からっぽの心に入道雲ができて、やがて雨を降らせてくれる。
感動も 後悔も 虚しさも
いつのまにか 花になる
嘘の花 ぱっちり咲いた
展覧会のはじまる前に頭の80%くらいは停止したまま捻り出した言葉が、最近の心によく響く。これでいいかという気持ちでなげやりに考えたフレーズ。
夜にお客さんと店主と三人で話していた中で心に残ったこと。〈ある偏った角度から「あなた」が作り上げた架空の「わたし」、架空の「わたし」を疑いようもなく美しいと思える「あなた」、私は現象に対して敬意を持つ、私はその「わたし」を守る〉
私にはできないかもしれない。いつまでも嫌な自分のままなんじゃないかと思う。でも、何も語らず堂々としている花の絵は、嘘を突き通してただの花になっている。閉店して絵の前を歩いている時にふと思った。意識せずとも、いろんなものが、ちゃんと花になっている。花は花として守られている。

