2023-08-31

暇料理、暇空想、暇絵

 



 
れんこんつくね ( つくね部分にれんこんのすりおろしが入っている )、ごぼうの甘辛、ふうとうのらくがき、バナナジュース
 
 
私の大好きな猫が、死んだあともからだがそのままふわふわとしていて、火葬せずに家においておけたなら、私はその、もう鼓動は動かないけど大好きな猫に会うことで、少しは満たされるのだろうか。
暇だと、こういうとりとめのないことばかり考える。今の私に、暇は良くない。
考えずとも分かること。
 
生前、ふわふわとして、いいにおいのするところが大好きだった。
けれど、そんなのはおまけみたいなこと(繰り返し考えずともわかっていたこと)。
あの魂が好きで、だからあの顔立ちが好きで、あのふわふわが好きだった。
 
私にあいた穴、それは深く、愛おしい、あの猫と同じくらい、愛している。

ぼけたらしあわせなんじゃないかとかあほみたいなことを考えていたけど、あの魂ともう実際に会うことが叶わないんなら、もうどっちにしたって変わらない。
 

2023-08-23

とびはねるうさぎ

 

 
トウモロコシ、にんじんポタージュ、チョコチップクッキー
今日は料理ばかりして過ごした。
料理は良いなと思った。自分が食べるために作って、作ったら食べて、どんなにきれいに皿に盛ったって、跡形も残らん。おいしければ、それは良い。
食べると、それは血とか肉とか骨とかになる。生きていける。
それは、なんでかすごく安心できる。最近、別にうまい訳でもないが、料理が楽しい。
 
空をうつくしいと思うとき、地球にうまれてよかった、 と思う。
味を感じるとき、温度を感じるとき、心地よい色を塗るとき、愛しいものを想うとき、生きててよかった、と思う。
油断しているときなどに「私はなんのために生きているんだったか」が、横切る、なぜそんな簡単なことを忘れるのか、なんで私はどこまでもどこまでもバカなのか、わからない。

今日も変な夢を見た。大好きな猫にそっくりな顔の絵みたいなうさぎが部屋の中ではねていて、つかまえようとした。足下みるとゴキブリが一匹。ここ密室。大変怖い気持ちになりつつ、うさぎをだきしめたくて焦る。この世のいちばん怖いのといちばん好きなのがひとつの部屋に閉じ込められてると、ああいう感情になるんだなと思った。あたふたしただけで終わる。
 
会えなくても大丈夫と分かりつつも、忘れても大丈夫と分かりつつも、やっぱり無条件に会いたくなる日はあるんだねえ。

2023-08-21

反射

 



 
展覧会は非日常です。
絵ばかりが並んだ空間は異常だと思う。
 
在廊していると毎日ものすごい量の光を浴びる感じがする。
溢れ出るから、くたびれてしまうのかもしれない。
休みになったら、1日ぐうたらしてしまう。
 
今まであんなに身近にあった絵が、額に入ると途端に「完成」されたものになって、私もどうでもよくなる。責任感はどこに飛んでったのか。本当は額なんかいれず、暮らしの延長みたいにしてできたら良いのに。内から外に出すとき、私はなぜいつも神経質になってしまうのか。
 今年、展覧会が3度目。(小さなものも合わせれば4度目) ちょっとやりすぎかもしれません。「展覧会ってお葬式っぽいな」っていう感覚は、今の所やればやるほどしっくり来ている。 

絵も言葉も本も私ではないのだから、多分死んだら本当に、終わる。
それが怖くて、こうしてなんにもならない文章を綴ってしまうのかも。 
反射的に。病気が怖くて症状を検索しまくるみたいに。

2023-08-18

『花』 / 本についてのおしらせ


 
『花』 
市村柚芽
 
発行日|2023年8月10日 第1刷発行
絵・文|市村柚芽
デザイン|浦川彰太
編集|荒木健太
編集協力|熊谷麻那

発行元|えほんやるすばんばんするかいしゃ
発売元|果林社
印刷|株式会社シナノ

< 仕様など >
ISBN|978-4-910735-02-3
製本|上製本(ハードカバー)/ スリーブケース入り
サイズ|18.9×26.5cm ※本体:B5判
頁数|96ページ
印刷|オフセット印刷
言語|日本語
 

 
私はある日、すずしい場所で/あたたかい場所で、花だと思っているものの絵を描きました。
その輪郭の内側を自分勝手に夢見ながら、
生きることの美しさと醜さとを突きつけられながら。

私は描くことをやめられずにいます。
そんな日々を記録し、また思い出したり、濁したりしながら制作した本です。
 
 
先日から開催している展覧会では、初日にあわせて本の発売日でもありました。
すでにたくさんの方に手に取っていただけて、とてもとてもうれしいです。
この本は、約三年間描いてきた花の絵を時系列に並べ、綴じた画集です。
日記から抜粋したことばや、まったく無関係の文章もぽつりぽつりと掲載されています。
なんだか変な本になったなあ、と思っています。
まだ宙に浮いたような心地ですが、たくさんの人に見てもらえたらいいなと願っています。


  







 
この本に関わってくださったすべての方へ、また、今はもう枯れてなくなった花たちへ、心から感謝しています。
 
市村柚芽
 

 

 
【購入希望の方へ】
個人の方へ
発刊元である「えほんやるすばんばんするかいしゃ」や、その他お取り扱い店舗(一覧表はこちら)、ネットショップなどで販売しております
 
✤お店の方へ
卸販売しております。
発刊元である「えほんやるすばんばんするかいしゃ」とのお取引のほか、市村柚芽との直接のお取引き(こちらの記事を参照ください)も可能です。
また、トランスビュー経由でも仕入れが可能です。

2023-08-05

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蜂蜜と小麦粉とバターだけで作って冷凍庫にストックしておいたクッキーを薄めに切って、いただいたゆずピールジャムをはさんだ。 
ジャムは触れるとぺたぺたするが、遠くで見ると宝石みたいで綺麗だ。
 
 
しかし、お金がない。
ほんとにない。
いくらあってもたりないと思うのかもしれない。
底がほとんど見えた状態で暮らすと、行動範囲が狭まる。
家にあるものでどうこうしようと思うようになってくる。
処方されたアレルギー薬は飲まずにとっておく。
数日筆も持ってない。
描きたくないときには描かない方がいい。
 展覧会の数日前、妙なしずけさ。
 
こんな暮らしのほうが、 本当は良いんかもしれないな。
 
きのう少しだけ無理して行ったライブではじめて聴いた「羊羹のブルース」が最高だった。
今日、調べて何度も聴いた。
最近は最高なものをたくさん知ったので、お裾分け。
漫画、『永沢君』・映画、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』・画材、Gペンと墨汁・たべもの、砂糖をちょっと多めにいれた、根菜の煮物・しっかり泡立てただし巻き卵。
 
ライブで、私はよくわからないことをずっと考えていた。
だからちゃんと聴けていないかもしれない。惜しいことをした。
左斜め前の前くらいの男性が、妙な動きで座りながら踊っていた。妙な動きだなあ、と思って何回か見た。
私の入り込む余地もないような世界があったり、そんなもの最初っからなかったみたいな、座席。
 
ふたつの耳が、熱を帯びた大きい音を吸い込んで、もう音程もわからなくなった音らしきものの中で、私がいつのまにか「社会」と呼んでいる実体がないのにあると思っている存在のことや、芸術のことを考えていた。私は会場の一番はじっこに座っていて、私の前の席の人の肩と、その右に立ち上がった人の腕の動き次第で見える彼は絵で、肩と腕が一瞬重なったときそれは額みたいになるので、展覧会みたいだった。けっこう遠くの距離にいる私のもとにまでは、彼の汗や唾液は届かない。ガラスで隔たれていいるような。遠い。遠くてよかった。エアコンが効いていてすずしい。私の絵もきっとそんな感じかな、などと思う。歌を聴けない私は、来るべきじゃなかったんかもしれない。彼はなにを歌って、演奏して、私はなにを描いて、喋って、世間に向けて発表してるんだろうか、と思った。