2024-04-12

きっとおもいだすころにはわすれてる

 
 
 忘れるために描くのかもしれないと思った。
 
とてもひさしぶりに花を描いていた。
何も考えずに描いていたら浮かんでくる色や形が懐かしさを帯びていた。すこし前の自分(一年とすこし前くらいの)に出会ったようだった。
でもわたしが観たいと思う箇所は違っているし、筆の置き方もちがう。黒について思うこともちがう。あのときと同じ筆跡はあらわれない。もうあのときの自分ではないのだと思った。そしてあのとき思っていたすべてのことをあのかたちのまま思い出すことはもうないのだろうと思った。花の絵を描くといつも、少しずつ離れていることを実感する。そして思い出すころにはもう遠くにいる。
花を描いていると、別の絵を描いているときよりもたくさん気付かせてもらえる。自覚できるだけ自我をとりのぞいて描いているからだろうか。
 
 
 
窓に桜が