ずっといちばん大好きな歌

 

青森の本屋さんが、友部正人さんのライブを主催されていた。
やりとりをしていたときのことだったので、青森まで本気で行こうかと思った。
片道5時間、2万円。行けないこともない。でも諦めた。
それは先のことを慮ってと言うよりは、最近の自分の心の動きを見つめて。
後悔するだろうかと思いながら。

ライブの日、開演時間である19時に、私は家でひとり友部正人さんの大好きな曲を聴いた。聴いたと言ってもCDを持っていないので、ユーチューブでライブの映像を見ただけだけども。
この曲のことは、よくわからない。
歌詞も耳で聴いて把握しただけなので合っていないかもしれない。
この曲の詳細を知らなくても音源が手元になくてもいいような気がして、いつもそんな雑な聴き方をしている。
いつかCDを買う日が来たりするんだろうか。

この曲は18歳くらいのときから、反復して聴いている。1年に1回くらい聴いてはまた思い出したときに聴く、というような。こういう聴き方をする曲は、他にない。

その日もしばらく聴いていなかった。
聴くとあんまり胸が震えるから、避けていたかもしれない。
久しぶりに聴けたその曲は、変わらず大好きだった。
ライブに行けなくても、友部さんに会うことがなくても、私は満足な気がする。
この詩のことは、生きてる限りはずっと何回でも思い出すだろう。



知らないことでまんまるなのに
知ると欠けてしまうものがある
その欠けたままのぼくの姿で
雨の歩道にいつまでも立っていた