no title

 


 
広い砂漠の真ん中で水を求める者が目の前にひとり居たならば、旅人である私は迷わず水を渡すだろう。でもその後ろ、また後ろにも水を求める者が居たとしたら。餓えた子どもの目の前で水が尽きてしまうなら、はじめから誰にも水を与えない方が良いんじゃないかとも思う。
そのような状態になった時にはじめてその人の本質みたいなものがあらわになるのではないかなと思っていて、自分の本質を探る為、時々空想の砂漠を歩く。
本当の正しさなんて月も神様も気付かないくらい些細な事なのかもしれなくて、目の前にあらわれた選択肢なんて、ただの気分だろう。
大切なのはそんなわかりやすいものじゃなくて。
どろどろの濁った絵具が塗られたキャンバス、目をつむって洗い流す。澄んで美しい色の重なり。ひとつぶの人間である私は本当に小さく、宇宙でもある私は全部答えを知っている。 
精神だけでもいいから、宇宙/時間の網からいつかすっと抜け出して、もっと遠くから私を見つめたい。そうすれば、身を以て解る。
会いたい人になんて会わなくていいのかもしれない、と思った。
自分が送ったメッセージや、頂いた言葉たちを読み返していて、恥ずかしくなりながら、またほんとうに懐かしくなりながら、そう思った。