虹の指標

 
宇宙船に乗ってもなお 地球のことばっかり気にしてる、なんていう人生がそろそろ終わったっぽい。目に映る景色を、この身で感じたい。頼りなかった自分の身体を信じたい。
 
(意識は眠ってもらう。忘れることを畏れない。)
 
あなたがいたこの世界はどこを歩いても美しい。そう思える事が、嬉しいんだ。
視界のはじからはじまで、幸福ひろがる。
私はどこへでも行ける。
悲しみは友達で、喪失感は宝物だということも、多分また思い出す。
 
実家に帰ったら、やっぱり居なくて、完全に不在だった。笑えるほど寂しい。
いなくなるって、寂しすぎる。
流れ続ける時間の中で、心が時間に追い越される。そろそろ歩き出す。
歩きながら(時間の流れに身を任せながら)泣けばいいのだと気づく。
 
掌に反射したこのひかりをにぎりしめる。これから、確認する必要はない。 

心のなかで頭を撫でたら、ふわふわしてた。
父は早朝、鳴き声を聞いたという。
母は昨日、寄り添う猫の夢を見たという。 
毎日寂しい。
作ったにぎやかな祭壇の前に立つと、なんでかほほえみこぼれる。