ネガ

引っ越し作業のため、いろんなものを捨てまくっている。そのなかで、写真もたくさん捨てた。・・・が、ネガは全部のこした。ネガのほかに、データ化してもらったCDもちゃんと全部、整理してファイルにしまって、のこした。好きとか嫌いとか、まったく関係なしで、ただすべての思い出が手放せられない。実家には、幼稚園のころに母と描いた絵とかも捨てられずにいっぱいしまわれてる。しらないうちに捨てて欲しい。そうでもしないと捨てられない。本当は全部おぼえてるんだから、形がなくても大丈夫なのに。だめな人間です。

最初のころにカメラで撮った写真のほとんどは、撮りたいものにピントがまったくあっていなかった。あとは、だいたいつぶれているか。でもそういう写真の方が、その時の温度やにおいがものすごくリアルに思い出される。逆に最近、ちょっとだけうまくなってピントがちゃんとあった鮮明な写真のほうが、嘘みたいに思える。なんでだろう、不思議。

たまに、いつ撮ったんだろう?なんていう日付のない写真がでてくる。それがあんまり良い写真で、あー。となった。それは名残惜しい気持ちとかではなくて、あのときはまぎれもない「今」だったのが、本当にいつのまにやらすぎさった「思い出」になっていたことへの、さみしさ。これはちょっと病的かもしれない。ちゃんと処理、というか供養みたいなことが、できてないのかもしれない。私は絵を描かないと、だめだな。などと思う。写真家は、すごい。写真って、せまって来すぎて痛い。

 



この家では、永遠みたいに長かった年月を、永遠が一瞬と思えるほど短かった年月をすごした。さようなら。さよーならー。