駅前の花屋に向かい、マトリカリアを買った。念のため商店街の花屋にも寄ると、コスモスが売っていた。「コスモス描いたらどうでしょう」と言われたことをおぼえていたけど買わなかった。今はマトリカリアを描きたかった。
最近昼のスーパーに行ける分のガッツが足らないため、コンビニで飲むヨーグルト買って帰る。今日は飲むヨーグルトを飲みながらマトリカリアを描く。
住宅街を自転車で走りながら展覧会のときのことを思い出していた。昨日人と会ったときのことも思い出していた。
私はその場をやりすごすことばかり考えてしまう。そのためか、その人が帰って数分後に記憶が飛んでいたりすることがある。
マトリカリアから連想されること、これは記憶がまだ残っている出来事。お客さんがマトリカリアの絵をさして「これはカモミールですか?」と私にたずねられた。
私は「たしかそんなんだったような、ちがうかもしれないけど多分それです」と答え(私は花の名を全然おぼえていません)、カモミールはとてもいいにおいだということと、鼻によいことを教わった。ドイツの病院では薬は出さずに、カモミールの香りを吸わせることで鼻を治すのだそう。私は鼻が悪いので、「またカモミール描くときがあったらやってみます!」なんて言ってしまったけど、カモミールなんて描いたことがないのだった。多分、実際描くつもりもない。つきたくてついたうそではないけれど、そういう自分はだいぶ不誠実だと思う。そのうち誰かに怒られるんじゃないかと思って怖い。誰かに怒られるということは誰かの気分を害したり悲しませたりしたということなのに、そんなことより怒られることばかり恐怖する自分は滑稽である。最近、少し諦めた。
いいんだろうか、と雑念過るが、これは良い悪いの話ではないのだ。
できるかできないの話。 …多分
そんなことを考えつつ曇り空住宅街を走っていると、角を曲がる度に人が通る。曲がると人、曲がると人。どこに行っても人がいて、今日の自分は不安になった。
今日の自分はそういう気分なんだと分かった。
自宅近く、人が居なくなったら今度はアゲハチョウが、目の前を連続で4回も横切った。(内2回は同じアゲハチョウが往復して目の前を羽ばたいた)思わず「オワー!」と声が出た。今夏ベストスコアだったから、うれしい。
帰って、遠い場所から届いた贈り物をほどく。
M君の絵に、いつも痺れてしまう。会ったこともないわたしのために、いっつも全力でサプライズしてくれる。私はあの子にいつか、なにか返せるんだろうか?返せなくたって良いんだろうけど、この気持ちはずっと覚えていたい。あの子が大人になったころ、私はおばあさんになって、そのときになったら何か出来るだろうか。
あみだくじで辿り着いたのは、にんじん(多分)ちゃんだった。