本の進捗。様々な紙で何冊も試作をプリンターで作りながら、検討の末紙を決め注文する。特にほしい紙は薄いものしかなかったり厚いものしかなかったり廃盤になっていたりするものばかり。私が変なのかもしれない。けれどもよい紙が届いた。ブンペルのダンボ。雨の中紙を荷台にひいて印刷屋さんに行く。試し刷りをするとインクの色と紙が合わず、妥協するか紙を変えるかこの印刷方法を断念するしかなかった。本としていいものにするには黒いインクを使えばいいのだが、どうしてもインクは黒ではなく、灰色にしたかったので断念。印刷屋さんはいろんな紙を試させてくれて嬉しかった。きっと本の製作なんてしてなかったらもっと簡単にいろんな物事の判断が下せただろう。読めりゃいい、中身がよけりゃいいと思っていただろう。
その後いろいろ考えたのち、自宅のプリンターで刷る事になった。自宅なので、テストプリントがし放題で困る。灰色の度合いを何度も調節したり、面付けの細かい配置をずらしたり。昨日の深夜刷って一番濃いと思った灰色を40%明るくして印刷したもので作ることにした。肉眼でみても差がよく分からない。けれども自分にとっては大きな決断だった。ばかになってきている。
試作入れのカンカンは今朝ふたがしまらなくなった。
本を作ることってとても難しいんだなと思った。とんとん拍子で進む本ってあるんだろうか(それはあるだろう)。何度挫折しようと思ったことか。一人でやってるだけましだとも思った。
本とは建築に近い気がする。自分でつくってはじめてわかることばかりである。本とは内容だけでは成り立たない。紙もインクも製本方法もすこしの知識では歯が立たない。水たまりと思っていたらすごい沼だった。ずっともがいている。絵よりもむずむずする感じ。
80%くらいつらくて20%くらい楽しくて、その全部が愛しい。理屈ではない感じが地に足が近づいた気がして嬉しい。
誰もわかんないだろう苦労の数々、私はしっかり見ていた。きっと大好きな本になる。