砂の城/雨


少し前、夢。
どうにもならなくなって、ついこのあいだ引っ越してきたばかりなのに、この町を離れることになる。引っ越し先は小さい頃に住んでいた団地。地元は懐かしさでできていた。団地の11階。窓から見える景色はそのままで、振り返ったら猫がたたんだ布団の上で寝てるような気がする。なぜかとても怖くて、振り返れない。不安が喉までのぼってきて苦しくなる。

何か大事なことを忘れた気がしながら起きる。起きられたことに安心する。家事をして、絵を描いて、今ここにいてよかったと思う。祭壇に、猫の骨が、銀のキーホルダーに、小さくおさまって、居る。懐かしい景色が頭に浮かぶ。そういえばこんな夢をみたんだったと、変なタイミングで思い出す。夢は砂の城のようで、掴んで持って帰ろうとすると、帰り道でただの砂に戻ってしまう。小さな砂利をみつめていつまで思い出せるのか。夢と過去はなにが違うのか。
 
いろいろの症状をいちどに見てもらうための病院から出たら、雨が降っていた。蕁麻疹や胃の不調など、各方面の薬が多すぎるので、全部を診てもらえるかかりつけ医にしたかった。診察は、少し不安になった。大丈夫なのだろうか?と信じないから不安になる。雨。それでも行きたい調剤薬局があって、数分走る。会いたかった薬剤師のおじちゃんには会えたけど、病院の下の階の薬局で薬をもらった方がよいかもねえ、とほほえまれて、そうですよねと、また戻る。雨は止んでいた。止んでいたけど、服は雨で濡れたままだ。でも止んでいる。不運な日は本当にことごとく不運なことが重なる気がする。でもどこまでの出来事を不運と仕分けするのかは自由だ。