衝撃的に楽しい瞬間があった。そのたまらなさに、くらっとなった。あまりにも楽しいと、その瞬間には、笑みも出ない。倒れそうになるのだなと知った。
刃牙を読んでいると、弱いまま強く、とかじゃなく、普通に純粋に強くなりたいと思わされる。いい勝負をして、すばらしい敗北で終わりたいものだ。
どんな切り口でもいいから、まずは切ること。それで、その切り口を信じ、掘り進めていく。どこでも浅瀬はつまらないけど、掘っていけば、予想のつかないおもしろいことが、もしかしたら、ある。青森でそういうふうに思った。東京で感じていた漠然とした虚無感は、新幹線を降りて、外の空気を吸った時に散っていく。想像できたつもりになっていた知らない場所での誰かの暮らしは、ほんの1mmも当たっていなかったかもしれないことに気づく。自分の頭の小ささを思い知る。
一人行動の時間では、温泉に行こうと思って、ホテルから三十分くらいバスに乗って向かった。バスから降りて歩いている時、人っこ一人いない道と、どんどん暗くなる空に気づき、怖くなる。あと5分くらいの地点だった。温泉とは真逆に歩き出し、Uターンで帰宅。強くなりたい人がとる行動とは思えぬ速さであきらめた。道中あった神社で一応拝む。遠くの岩木山を眺めて、じゅうぶんだったと言い聞かす。夕暮れ、うすむらさきの岩木山はやさしい輪郭をしていた。