今日も読みつづけてみます。第一弾はこちら。
ページをめくると、少し景色が変わった実家の周りを歩いているときみたいな、望郷がありました。完成された絵というより、その筆跡をたどるように見てしまいます。前回ご紹介した①のページと同様、すごく厚塗りですが、何枚か花を描いて調子が乗ってきて、わりかし塗り直さずに描けるようになってきた段階だった気がします。
私は恋とか胸キュンとかよくわからないまま生きていたのですが(欠けた感性に対して少しのコンプレックス的なものも抱えつつ)、花を見てどきっとする感覚があり、これはもしかしたら恋なんではないか?と妄想したりもしていました。
頻繁に花屋に通い、絵は花が枯れる前に描き終えます。とにかくたくさん描きたくて。描きおわった花は大きい花瓶に乱雑に放り込み、茶色く乾涸びたら捨てました。こんな感じだったので、「花を愛でる」なんて言葉からはほど遠い扱いをしてきたというのに、当時の自分は世間で言う「花好き」みたいな人になれたんでないかと勘違いもしていました。恐怖です。
思い出されることは恥ずかしいことばかりです。絵の中の花はぴかぴかしていて、眩しいです。