2022-08-31

夢の窓辺



  
数日、長い時間眠った。不思議な夢をたくさん見た。
誰かの手術跡をなぞる夢や、理科室で地球を作り直す夢、掌で虹色のジェリーボールを転がす夢。最近こげるようになった自転車に乗るような疾走感をもつ、何かよく分からん乗り物に乗って雪降る地方へ行き、雪をにぎって雪玉にして建物のかたすみにそっと置く夢とかを見た。
あとは、昔の実家で、自分は小学生くらいになっていて、家族と雑談中になにげなくのぞいた窓から見えた夕暮れが、私が描く空想の窓辺に似ていた。その風景は、遠くのほうには真っ黒な山が連なっていて、近くには何にもない土地が途方もなく続く丘があり、雲は薄い紫色でぽつぽつ出ていて、空は蜜柑色だった。日は真っ白だった。山は紫とか緑とかに発光していた。自分の描く空想の夕ぐれよりうつくしい景色だった。なんだかそれが嬉しかった。
あれが心の風景だとしたら、とてもいい。