2022-01-13

冒険記

先日、旅の途中の絵描きの方と吉祥寺でお会いした。その方とは絵を通して知り合った。ずいぶん昔から知っていたけど、初めてお話ししたのは去年だったか。
お会いするのは初めてだったけど、初めてじゃないみたいだった。なんでだろう?
善福寺公園の白くまるっこいベンチで、今朝焼いた蜂蜜とレモンのケーキを食べながら、今回の旅の話を聞かせてもらった。その旅は物語のように美しく、きらきらしていた。ちょうど夕暮れで、オレンジのひかりが射し込んでいた。まさにそんな、美しい旅の話だった。
私はなんだか、自分が今生きていて、肉体を持ち、話が出来る事に、…今さらそんな事に、心底嬉しくなった。
私は花の絵を一枚あげた。
秘密基地みたいな喫茶店でコーヒーを飲み、知らない音楽のCDを買ってみたりした。さようならして振り返ると、ずっと手を降ってくれる人だった。
私は心の中で、無事を祈った。おこがましいのかもしれないけど、血の繋がりはないけど、なんでか、兄ちゃんと呼びたくなった。