連日のおしらせになりますが、先日発表した手製本の小冊子のシリーズの第一弾がやっと完成しましたので、販売を開始しました。
こちらで販売してます。
ちょっと高いので、無理に買わないでも、
今じゃなくても、いつかに、どこかで、これを読んでくれているあなたが、この本とふれることがあったらいいな、と思います。
(買ってくれたらもちろん嬉しいですが)
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今回の内容は、真っ黒いインクで印刷された、スケッチの束。忘れたことも忘れていた、いつかの帰路。ほとんど言葉のない絵の本です。
定着液を塗布しましたが、まだまだインク落ちが激しいです。小さなお子様や、動物たちが誤って舐めたりしないよう、ご注意ください。
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前回発表した本も たくさんの方に購入いただいております。
感想のメールは、何度も何度も読み返しています。
皆様ありがとうございます。
また、卸のお問い合わせも数件頂いております。
お店においていただける事、とても嬉しいです。
こちらの本も卸販売させていただきますので、条件や送料についてはこちらをご一読ください。お待ちしております。
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ここから、本作り奮闘記です。内容とは無関係な外側の話ですので、読まなくてもいいです。
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今回の本は、とにかく黒にこだわり、それで少し大変な思いをしました(させました)。
今回はリソグラフ印刷ですので、インクが手につきやすいという性質があることを知りながら、一面、100%黒でベタで印刷してもらいました。大変な事です
ふれただけで手が黒くなります。印刷して出て来た紙は、くるくるまるまります。
中野活版印刷さんに大変お世話になりました。
数日経った今でもインクが手にたくさんつくので、これはさすがにまずいと思い、 全ての原稿にフィキサチフ(定着液)を吹きかけましたが、原稿半分塗布し終わった段階でフィキサチフが底を付き、途方に暮れました。フィキサチフを一日で使い切ったのは初めての事だったので、なんだか怖くなりました。
前回の本は自宅のプリンターで印刷する、という方法を選んだため、6、7時間プリンター稼働しっぱなし・つきっきり を、二日やる、という長時間の作業があってへとへとだったのですが、フィキサチフ塗布と比べると両方同じくらいの大変さかも、などと思いました。
本作りって、自分の頭の悪さもあるとは思いますが、計算間違いしてないのに全然うまくいかない事ばかりで、本当に何があるか分からなく途方に暮れるばかりだけど、苦労も喜びも込みで、面白いなあと思いました。
一点ものではなく複製できるという点で(私のつくる本は複製と呼ぶには個体差がありすぎますが)少し社会に近い部分で創作活動が出来る事が喜ばしくもありますし、自分の本についてはガタガタだったものをすごく原始的な方法でそろえていくみたいな作業ばかりだったから、それが割と絵を描く行為に近くて、身近にも感じられ、なるほど、と思いました。
町の本屋さんで並んだ本を見ると、なんて綺麗なんだ、と少し感動してしまいます。
製本屋さん、紙屋さん、印刷屋さん、編集者の方々、デザイナーさん、装丁画家の方々、まだまだいると思いますけど、ホントにすごい、ホントにすごいすごいです。ホントにすごいんだなあ、と、自分でやってみて知りました。本は、誰のものでもなく、読み手だけのものでもあるのだな、とも感じました。嬉しい気付きです。
しばらくまた絵を描くほうに力を注ぐ予定ですが、また作りたいです。
製作中の嘆きやよろこび、泥臭い作業を忘れたかのような、すんとした顔で、だれかの手のひらで読まれる私の本たちを想像すると、さっぱりしていて、なんだかすごく良いです。